町長日記 7月12日(千葉大学の新倉名誉教授とヤニス教授が来訪)

   千葉大学の新倉名誉教授とヤニス教授が、来訪されました。8月に、ギリシアのアリストテレス大学と、千葉大学の学生のジョイントで行われる研修に関する件でお話しをしました。これは、異文化の持ち主同士が出会った時におこりうる事態を調査するという課題を両大学が研究するための一環で、一宮町で住民の家庭、或いは町角の通りがかりの人などにインタビューをする作業を中心とするものです。それを発表資料にまとめて、最終的にはビデオクリップとしてYou Tubeにアップロードするそうです。目的は若干異なりますが、形式はほぼ2月の学習院大学の研修と同じものです。

 私の個人的な感触では、異文化の出会いで、最大の障壁は、言語バリアーであると考えますので、それを述べましたところ、新倉先生のお話しでは、今回は言語バリアーの手前の段階で、どういうことが起こるかを調べたいということでした。

 私の経験では、共通の言語がない場合、最初の10分間から、30分間くらいまで、互いの好意を表現しようとして、その応酬が行われます。この段階では、好意という感情を伝達するだけですから、それはそれなりに笑顔などで効果的に行われます。その後になると、認識を共有したくなるのですが、それには言語が不可欠です。

 特定の社会集団に対する憎悪が高まり、排他的な感情を抱くのも、自分たちにはわからない言語を使っていることによって助長されます。言語の障壁は、他者を異物視し、排除する根拠として容易に機能します。もともと外国語習得を仕事のひとつの中核としていた私としては、この問題こそ、異文化の出会いにおいて、まずもっとも大きな問題だと思いますので、それを申し上げた次第です。

 今回は、そうした問題ではなくて、そこに至る手前の段階での問題を調べるということなので、また事態は変わってくるのだと思います。結果を期待して待ちたいと思います。

    先生方からは、この研修調査について、二つのことを依頼されました。一つは「事前に町の方々に周知徹底をはかること」、もう一つは「インタビュー先のご家庭を紹介すること」です。町の伝統的な暮らし方をしているお宅を中心に訪問したいということでしたので、そうしたご家庭をご紹介するつもりです。