町長日記 8月8日(南房総市農業支援センター視察)

最近、河野豊組合長率いるJA長生では、グリーンウェーブの選果機更新を機に、新規就農者の支援を中心業務とする、農業支援センターを、行政と農協と共同で設立するプランを提案しておられます。今日は、プラン策定作業の一環として、先行事例の研究ということで、南房総市に出かけました。

 富浦地区にある市役所において、南房総市農業支援センターのスタッフの皆様からお話しを伺いました。平成24年度の後半から発足し、実績は約5年ということ、設立は市長と組合長の合意にもとづく政治的判断だったこと、などから始まって、各方面について資料を用いながら詳細に説明を下さいました。

 支援センター業務は、6つの分野にわたって展開していました。農地の集積集約事業、コントラクト事業、労働力派遣事業、セミナーなど学習事業などです。

 わたくしが気になったのは、主として費用と効果の問題でした。費用的には、市から発足以来27年度までは2500万円/年、28年度からは2000万円/年が投入されているというお話しでした。効果としては、過去4年間で21人の新規就農者を定着させた、ということでした。そして今のところ、この21人の方は、継続して営農しておられるそうです。

 冒頭で、平成12年から22年までの10年間での、南房総市における農業従事者の数の減少、経済活動の縮小、耕作放棄地の増加、といったことがデータをもとに語られました。そこで、この支援センター事業の発足によって、こうした傾向に歯止めがかかりつつあるのか、少なくとも衰退の速度が鈍化しつつあるのか、が数量的にわかると、はっきり効果があるのか否かが判明すると思って、数字的なものがありますか、と質問を差し上げました。しかし、それは残念ながら目下作っていない、とのことでした。

 一緒に行った各町村の事務方の皆さんの関心は、現実の運営の仕方に集まっていました。出向の形態、職務の分掌、勤務形態など、質問は多岐にわたっていました。運営形態を巡る意見交換で特にわたくしが興味をもったのは、以下のことです。

    南房総の場合、単一の市なので、市役所の同じフロアーに、農業関係の部署、農業委員会、支援センター、農林水産部が隣り合わせに並んでいるのだそうです。そこで、職員の皆さんは、すぐ横の部局のスタッフと一緒に事に当たることができ、いわゆるワン・ストップの形態と機能を発揮できているとのことでした。これは、利用者に対して大変大きな利便性を差し上げていることになると思います。今回わたくしども長生郡市が同様の組織を作るとなると、それぞれに独立した役場があり、一つの役場ですべて事足りるというわけにはゆきませんので、残念ながらこうした利便性は低下せざるをえないと思います。

 最後に、南房総市の支援センターの売りの点を是非ご教示下さい、と申し上げたら、農業者の皆さんとの距離がまじかで、具体的個別的条件・要望に沿った形で対策をとれていることだと思います、とのお答えでした。素晴らしい協働の実を挙げておられるのだな、と敬服いたした次第です。

 あと、面白い問題があるのだな、と思ったこととして、臨時雇いの雇用状況をめぐるお話しがありました。露地の野菜などをやっている農家は、収穫時に臨時に人手が必要ですが、雨の日は収穫できませんので、雇用の必要がありません。しかし、県の労働関係の部局から、そうした、雨の日は雇用しない、といった雇用契約はいけない、ということで、指導を受けたそうです。労働関係の法規のありかたが、天候に左右される就業形態を想定していない、ということのようです。これはむしろ法規を現実に合わせるべきところだと、強く感じました。

 全体として、わたくしにとっては、大変勉強になった視察研修でした。帰途、本町職員と話しながらきましたが、職員の意見では、センターができることで、従来行政ができなかったことができるとか、従来行政がやっていたことが減るとか、そういう寄与の面をはっきり展望できるようにしなくてはならない、ということでした。その通りだと思います。

今日の視察をふまえて、実務担当者は後日集まって案の策定に向けて協議をするということです。なんとか、わたくしどもの地区でも、職員の意見に沿った形で、成果の上がる支援センターを、無理のない形で立ち上げられることを期待したいと思います