町長日記2018年4月24日(IOCプロジェクトレビューに出席)

   今日は、虎ノ門ヒルズの東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会事務所で開かれた、東京オリンピック・パラリンピックの地方会場の準備進捗状況報告会「千葉編」に伺いました。全体で1時間、わたくしども一宮町に与えられた時間は5分でした。千葉県の高橋局長、千葉市の安藤部長、そしてわたくしの順番で話しました。聞き手は、直接にはIOCの委員の皆さん、すなわち2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会調整委員長であるコーツ副会長をはじめとする方々でした。

 結果は、大成功に終わりました。わたくしは、一宮には玉前神社があり、上総地区でもっとも格式の高い一ノ宮とされていること、その玉前神社のご祭神・玉依姫は、神話に語られる初代天皇・神武天皇の母君であること、その女神が釣ヶ崎の海岸から上陸したという伝説があること、そこに毎年9月13日に玉前神社の神輿をはじめ、玉依姫の一族の神々を祭ってある神社の神輿が集結し、海に入って上陸し、伝説の上陸劇の再現を行うこと、釣ヶ崎海岸には鳥居が立っているが、そこを通って神輿は上陸してくること、世界で始めてのオリンピックサーフィン競技は、まさしくこの釣ヶ崎の海で行われること、わたくしどもの伝統の中での神聖な場所が、世界的なサーフィンの最高峰の競技の場所として選ばれたことは、大変光栄に思うこと、などを述べました。また、冒頭の挨拶では、開催地として、地元の日本文化の香気と色彩に満たされた大会を行いたい、とのメッセージを送りました。

 質疑応答の際に、コーツ氏と、持続可能性担当の委員のミシェル・ルメートル氏らが、わたくしの発表に関心を示してくださり、コーツ氏からは、すばらしかったと、お褒めの言葉を頂きました。コーツ氏は、「ぜひ一宮を訪れたい、仲間の一人はサーファーであるので、彼にはサーフィンをしてもらって、わたしたちは地元のおいしいものを頂きたい」と笑顔で冗談まじりに仰っておられました。終了後は、司会をされていたギラディ氏も連れだって、皆様、わざわざ、先方からわたくしの席へご挨拶に来てくださり、大変恐縮致しました。是非一宮へ起こし頂きたいと思います。本当においしいものでおもてなしを差し上げなくてはなりません。 

 また、持続可能性担当の委員の方は、海をきれいにする運動を行っていると言うことで、国連でも海をきれいにする活動をしているが、知っていますか、わたくしたちはあなたがたと協働して海をきれいにする活動をしたいけれど、その気はありますか、とたずねてくださいました。わたくしは、知っています、とお答えし、現在プラスチックの微粒子が生物に深刻な影響を与える危険があることが話題に上っていること、イギリスの首相も、それに向けてプラスティックストローの使用をやめようとしていると聞いていること、われわれも、力は乏しいながら、河口清掃などを行い、なるべく人工物が海に入ってゆかないように努力していることなどをお話しいたしました。これから、詳しいことは連絡を取り合って、是非協力して事業を行いましょう、とその理事の方は仰ってくださいました。

 IOCとの共同の事業など、日本の1地方自治体が行ったという話は、これまで聞いたことがありません。実現すれば、大変なニュースになるでしょう。もちろん、コーツ氏ほかの方々がお見えになることも、大変なニュースになると思います。どちらも是非実現に向けて進んでゆきたいと思います。

 なお、持続可能性担当委員の方のご質問に、日本のサーファー人口はどれくらいですか、というものがありました。わたくしにはそのときはっきりした認識がなかったのですが、随行してくれた高田オリンピック課長が、QS6000の資料を携帯しており、そこに500万人、世界のサーフィン人口の4%という推計値が出ていることを教えてくれました。一宮では12,000人の人口うち2,000人くらいがサーフィンと縁があるが、10,000人は現在無縁だ、というわたくしの個人的感触も交えて、お答えでき、大変面目を施しました。的確に資料を提示してくれた高田課長に、深く感謝いたします。最高のコラボレーションができました。

 なお、冒頭の自己紹介とメッセージ、質疑の一部は英語で行いましたが、発表は日本語で、ということでしたので日本語で行いました。同時通訳の方の翻訳を聞いていましたが、大変すばらしいものでした。難度の高いお仕事と伺っていますが、そのクオリティは大変優れたもので、過去に国際学術会議の通訳などもしたことのある身として、皆様の努力に頭が下がる思いでした。