平成23年10月

10月3日 ワーク・ライフ・バランスをさらに進めよう

 今月から男性職員が行ってきた夜間の宿直業務が民間の業者に委託され、それにともない従来女性職員が行ってきた日直に男性職員も加わることになりました。
 
一宮町職員ワーク・ライフ・バランス検討委員会から仕事と生活とのバランスの取れた生き方を目指すために宿直業務の民間委託が提案されたのは、昨年12月でした。
計画によれば23年7月から宿直業務を民間に委託する予定でしたが、3月11日の地震や津波への対応に追われ、少し実施時期が延びてしまいましたが、実現することができてホッとしています。
これによって、家族との時間が多く取れることになります。また精神的肉体的な負担が大幅に軽減され意欲的に勤務につくことができます。

「仕事すること」と「生活すること」は本来、相対立するものではなく、ましてやどちらかを「我慢する」といったものではありません。両方を実現させていくためには、私生活を犠牲にしない働き方を工夫して実践していく必要があります。
私は、仕事と生活のバランスの取れた職場環境から職員のやる気と良いアイデアが生まれると考えています。


10月11日 留学生を迎えて

  国土交通省では、東日本大震災以降の風評被害を払拭するため、日本在住の外国人留学生300名を関東各地に派遣し、地域の観光資源の魅力の発掘やブログ、ツイッター等による情報発信を依頼する事業を行うことになり、10月7日、11名の留学生(韓国人2名、中国人9名)が一宮町といすみ市を訪問しました。
 実は、8月4日市原市で開催された中房総観光推進ネットワーク協議会で講師として出席した溝畑観光庁長官からこの事業の話しを聞いて、一宮町への訪問を直接依頼して、今回実現したものです。

 一宮町では、玉前神社と一宮海岸が見学先に選ばれましたが、玉前神社では、神官によるお祓いや参集殿に飾られた神輿を囲んでの記念写真に一同大変喜んでいました。
留学生はいずれも選ばれた学生ということもあり、日本語は皆さん達者で通訳を介さないで対話をすることができました。
サーファーが集う一宮海岸と1200年の歴史を誇る玉前神社という一宮町の新旧二つの魅力を留学生がどう感じて外へ発信してくれるか楽しみです。


10月12日 一宮町役場庁舎建設住民説明会

  10日 一宮町役場庁舎建設住民説明会をホテル一宮シーサイドオーツカで開催しました。

3年前私が町長に就任したときには、役場庁舎が老朽化しており、いずれ建て直しが必要だという認識はありましたが、危険な建物であり早急な建設が必要だという認識は持っていませんでした。
就任後、職員から昭和42年に建設された現庁舎は、耐震診断の結果、大きな地震がくると倒壊する危険性があるということを知らされ、平成20年度に、職員からなるプロジェクトチームを組織し、新庁舎建設の手法や実現方法を調査研究いたしました。
その結果、私が就任した時に庁舎建設基金はわずか193,002千円でしたが、新庁舎建設にそなえて不要不急の工事や事業を見直し、この3年間に庁舎建設基金を3億4千万積み増して、536,327千円まで積み増すことができました。

新庁舎建設に当たり、その内容に町民の意見を反映させるため、町内のさまざまな分野における団体の代表者や学識経験者、公募による委員など10人の委員で構成する一宮町庁舎建設検討委員会を組織し、平成22年8月から平成23年3月まで8回にわたり会議を開催し、庁舎建設の基本的な考え方について貴重な意見をいただきました。

一宮町庁舎建設検討委員会の答申を受けて、4月から庁内に各課の課長からなる一宮町庁舎建設推進委員会を設置し、具体的な項目について作業を進めてきました。
3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の教訓を生かして、建設場所や建設方法などを再度検討し、新庁舎建設基本構想・基本計画の素案をとりまとめました。
住民説明会ではその内容を説明いたしました。

いうまでもなく役場の庁舎は、町の行政サービスの中心であり、災害時には災害対策本部の機能を担う大事な役割を果たします。その建設問題は、将来にわたって今後一宮町の発展を左右する重要な問題です。

新庁舎の候補地、建設方法については、町内に様々な意見があることは十分承知しております。これをひとつに取りまとめることは、決して容易なことではないと考えています。
しかし危険な庁舎の現状を考えると、住民の安全安心を守るために、一刻も早く住民の合意を形成し、新庁舎を建設する必要があります。

住民の合意を形成するために、役場が持っている情報を全て公開し、住民と情報を共有する必要があります。住民の皆様にも一緒に考えていただきます。
そして説明会やパブリックコメントなどお互いの意見をキャッチボールする場が必要です。
住民説明会では、庁舎建設の必要性、新庁舎の基本的な考え方、具体的な建設計画についてできる限り詳しくご説明いたしました。

住民説明会では、現在の庁舎敷地に鉄骨造の新庁舎をリース方式で建替えるという素案に対して、賛否両論の意見が寄せられました。

新聞報道をみて町の建設計画がすでに決定したと考えている町民の方もおられると思いますが、住民説明会でご説明した素案は、あくまでも議論を進めるためのたたき台であり、現在実施しているパブリックコメントや住民説明会で寄せられた町民の意見をくみ上げて、さらにより良い建設計画を創り上げていきたいと考えております。


10月20日 津波に強い防災林を

 東日本大震災では、海岸の砂丘や防災林に津波の威力を大きく軽減させる効果があったことが明らかになりました。
 海岸の防災林は、森林法に基づいて防風,防砂、高潮対策などを目的に海岸沿いに植樹されたクロマツなどの樹林帯で江戸時代ごろから整備が始まったといわれています。
 林野庁が東日本大震災の被災地を調査した結果では、防災林には、到達時間を遅らせたり、津波の勢いを大きく弱める効果があったことが報告されています。 
一方防災林のない飯岡などの港湾施設の背後では大きな被害が出ています。

 現在一宮町には、一宮川の河口から東浪見海岸にかけて防災林が広がっています。
これは、海岸からの塩害や砂から住宅と農地を守るために長年の歳月をかけて形成されてきたものです。
 3月11日一宮町を襲った津波では、この防災林が一定の効果を発揮し被害を最小限にとどめたと思っています。
 しかし東北地方で発生したような大津波が来れば、今の防災林を簡単に越えて大きな被害が出ることが予想されます。近年マツクイムシによる被害と地下水の上昇によりせっかく植林したクロマツが枯れ、防災林の荒廃が進んでいることも心配です。
 そこで一宮町では、同じような問題を抱えている九十九里海岸の市町村と協力して津波に強い防災林の整備を千葉県に強く要望しています。
従来の防災林の整備方法を見直し、海岸沿いに盛り土をして土塁を作り、その上に植樹して津波に備えるというものです。そのために海岸保全を担当する県土整備部と防災林を担当する農林水産部の連携強化もあわせて要望しております。
9月に開かれた県議会では、「砂丘の新設やかさ上げのほか、防風林が地中に深く根を張り津波への抵抗力を強めるような森づくりなど減災効果をより高める整備方法を検討する」という県の方針が示されています。
明日21日には、知事と市町村長との意見交換会が県庁で開かれます。
知事に直接要望できる貴重な機会で、一宮町としては県に要望したい事項はたくさんありますが、1団体あたり5分程度と発言する時間も制約されているため、明日は、安全安心な町づくりのために津波に強い防災林が一日も早く整備されるよう森田知事に重ねて要望しようと考えています。


10月26日 津波に強い防災林をつくるためには

 県の調査によれば、九十九里浜沿岸で整備する海岸保安林(クロマツ林)面積の約44パーセントがマツクイムシの被害や地下水の水位上昇による根腐れで枯れていることが分かりました。(10月23日付の千葉日報)
 21日の森田知事と市町村長との意見交換会で私は、クロマツ中心の従来の整備方法を見直して、その土地本来の常緑広葉樹(タブノキ・シイ・カシ)を植樹することを提案しました。
 国内外1700箇所で植樹指導し、4000万本の木を植えて世界で一番多く木を植えた男といわれている横浜国立大学名誉教授宮脇昭氏は、東日本大震災の被災地を調査して、その土地本来の樹木を植えるのが、もっとも健全で長持ちする森を形成する方法であり、防災に大きな力を発揮すると植樹による復興・防災の緊急提言を行っています。
宮脇氏によればクロマツなどの針葉樹は、根が浅く津波には極めてもろい、一方タブノキ・シイ・カシなどの広葉樹は主根が縦に長く伸び、しっかりと表土を形成し、災害に強いという優れた特徴があるそうです。
詳しくは、議員控え室の推奨図書コーナーにある宮脇昭著「瓦礫を活かす 森の防波堤が命を守る」をお読みください。