町長日記2018年8月21日(長生郡市広域市町村圏組合の管理者会議に出席)

   今日は、広域市町村圏組合の管理者会議があり、消防関係の話がありました。ここ数年来取り上げられてきた、今後の長生郡市の消防体制のあり方をめぐる議論について、消防長から、消防委員の会議での結論が報告されました。それによると、これまでの4署4分署、つまり8署体制を維持するのではなく、将来の人口減をにらんで、数を減らしてゆくのが適切だということでした。ただ、具体的な案まではありませんでした。管理者会議でいきなり案を作ることはできないので、今後、事務方により、各市町村の状況を聞き取りつつ、原案を作ってもらう運びとなりました。

 南署について、一宮町では早く建て替えを、という声が議会では何度も挙げられています。南署については、睦沢と一宮が実質的な当事者です。わたくしとしては、今後速やかに案が固まり、両町合意のもと、早急に着工できることを望みます。そのためには各種協力を惜しまないつもりです。

 会議後、新築なった汚泥処理センターを見学しました。新センターはすでに稼動しており、屎尿を運ぶ車がやってきていました。センターに車が来ると、まず自動計測器の上に車を停めます。そこで各種データを入力したあと、ぐるっとまわって、搬入入り口から車ごとセンターに入ります。そこは二重扉になっていて、内部の臭気が外にでないようになっています。入り口の扉がしまると、中側の扉が開いて、汚物投入室に入ります。ここで投入口にホースを入れ、汲み取り時とは反対に、ポンプで汚物を排出し、床下の処理槽に入れます。ここでは、ホース着脱時に、少しこぼれたりもするので、臭気がどうしても少しあります。おわったら、そのまま、前に進み、また二重扉を通って外部に出る、という仕組みです。

 これが搬入の場所である一階の概要ですが、二階に処理施設の大半があり、見学できます。臭気をさまざまな手段で消すとともに、汚泥の水分を70パーセントまで減らし、発電のための助燃剤として使うそうです。煙突から出る排気には臭気はない仕組みだということです。

 思えば、わたくしが子供の頃は、家のトイレはポットン式の汲み取りでした。1970年代に水洗に移行しましたが、小学生の頃は学校も含めてどこも我が家のようなトイレでした。家では、トイレのドアを開けると小の個室があり、更に扉があって大の個室がありました。大の個室は、当然臭気が強く有りましたが、そんなことを気にしたことはありませんでした。便槽の中を覗くと、時には虫が動いているのが見えましたが、なにがいるのだろうとは思っても、それが汚いとか気持ち悪いなどと思ったことはありませんでした。もちろん、きれいだと思っていたわけではありませんが。

   考えてみると、その段階から、日本のトイレは随分と進んできたようです。今は、水洗のトイレは広く普及し、ウォシュレットも、公共施設にまで見られるようになってきています。トイレは不快なところから、快適な空間に変わってきています。もちろん、排泄にかかわることですから、完全に汚さと無縁になる、ということはできないわけですが、限界近くまで、清潔さと快適さが確保されてきています。

   ただ、こうした清潔さ・快適さは、電気・水道など、インフラの完備が前提のものです。災害時など、それが使えないときはそうした先進的トイレも使えなくなってしまいます。その時には、一挙に1960年代のポットン便所まで後退してしまうわけです。わたくし個人は、過去にそうした環境を体験して覚えていますので、さほど戸惑うこともないと思いますが、若い方々は臭気など、苦しく感じられるかもしれません。しかし、われわれの日常の快適な環境は、高度に人工的な環境の中ではじめて作られ、維持されているものですので、そのシステムが停止したときは、ぐっと戻ってしまわざるをえない、不快な方向に大きく引き戻されざるをえないわけです。そのことは、どなたにも心にとどめておいて頂くべきことだと、最新式の汚物処理センターを見学して、改めて考えました。