町長日記2020年9月18日(光触媒の関係の製品について)

    今日は、光触媒の関係の製品開発の仕事をされている方からお話を伺う機会を得ました。

 今回、お話を伺ったのは、二酸化チタンが、紫外線があたると、接触した有機物粒子を分解してしまう触媒機能をもつことを利用した技術についてです。

 それは次のようなものです。まず、二酸化チタンの微粒子を含む塗料を作って壁や天井に塗ります。ここでのポイントは、塗料の表面に二酸化チタンの粒子が露頭するようにすることです。そこに、紫外線を含む光をあてるとともに、扇風機などで空気を送ってチタンの壁面に触れさせます。すると、空気中に含まれている、匂いのもとの粒子や細菌・ウイルスなどの有機物が、二酸化チタンの力によって分解されるのだそうです。この原理によって、空気の無菌・無臭などを確保するというのです。

   光触媒の技術は、原理が発見されて以来製品化が図られてきましたが、製品の多くが効果に乏しく、現在では市場での信用を失ってしまっている、とのことでした。それは、塗料に微粒子を溶け込ませた後、塗布したときに、粒子が塗料表面に露頭するようにさせる技術がなかったので、二酸化チタンが塗料に埋没して、触媒効果が発揮できなかったことによるそうです。この問題は、特殊な技術を使い、表面張力を使って粒子の表面への露頭を確保することによって回避できる、とのお話しでした。

   現在、新型コロナウイルス感染症の拡大で苦しんでいるわたくしどもですが、このお話しは、感染防止の観点から、たいへん興味深いものに思えました。特に、大勢が集まって時を過ごす、学校や保育所、高齢者福祉施設などで、感染防止対策にこの技術が役立てば、たいへんありがたいことである、と思った次第です。

   日本は、戦後、軍事方面ではなく、民生方面での科学技術の応用に、卓越した技量を一貫して示してきました。ICT技術が中心をなす現在の状況下では、日本企業の影がありません。「鳳や鳳や、なんぞ徳の衰えたるかな」(論語)の思いを禁じ得ませんが、久しぶりに、“技術立国日本”の気概を感じるひとときでした。