平成27年8月

海外視察で感じたこと(8月10日)

 今年の7月、関東町村会主催の海外行政視察でスイスとオーストリアを視察してまいりました。一番強く感じたことは、日本と両国は歴史も自然条件も大きく異なっているが、自治体が現在直面し取り組んでいる課題は全く同じだということでした。まさに世界は一つということを改めて実感いたしました。
 最初の訪問先スイスのツエルマットでは、観光先進国スイスならではの取り組みをいたるところで視察することができました。マッターホルンの登山基地の町として有名なツエルマットの町は、丁度今年がマッターホルン初登頂から150年目の年ということで大勢の観光客が集まり、賑わっていました。
 まず驚いたのは、徹底的な環境保全の姿勢です。夏休みのこの期間は、ヨーロッパの国々から大勢の観光客が車を運転してツエルマットに向かいます。観光客は、はるか手前の駅で車に乗ったままカートレインに乗車し、ツエルマットの隣の駅で下車し、車を駅前の駐車場に駐車して、電車でツエルマット駅まで行きます。駅からホテルまでは、地元企業が制作した電気自動車と馬車が人や荷物を載せてゆっくりと走ります。CO2の排出を徹底的に規制するこの仕組みには、感心しました。ツエルマット市内では、ガソリン車の走行が全面的に禁止されていますが、ここまで来るまでには市の大切な宝である豊かな自然を守るためにどうしたらよいか、何度も市民が話し合いを重ねたと聞いています。
 ツエルマット市の宝はアルプスの山々ですが、わが町の宝はウミガメが産卵し、いつでもサーフインを楽しめる海辺です。一宮町のこの宝をいつまでも守っていくために私たちはどうしたらいいか、ツエルマット市民の取り組みは大いに参考になると思います。
 次に訪問したオーストリアのギュッシング市は、人口4,300人の小さな町ですが、バイオマスの分野では「ギュッシングモデル」として知られ、世界中から年間3万人の視察者が訪れています。
 ギュッシング市では、太陽光と木材そして牧草などの農業残滓という再生可能エネルギー資源から高度な変換技術を用いて熱・電力・ガス・自動車燃料の4つのエネルギーが作られています。その結果、かつてオーストリアで一番貧しい地域に認定されていた町が、今ではエネルギーの地産地消を通して経済的に豊かな地域へと発展を遂げています。
 2つの事例に共通することはいずれの町も決して恵まれた条件を生かして町おこしに成功しているわけではないということです。住民と行政が一体となって長い間取り組んできたことが今大きく結実しているわけです。
 スイスもオーストリアも地方自治の仕組みは日本と大きく異なりますが、年金、医療、雇用、子育て支援、幼児教育の充実、地域経済の振興など地方自治体が解決を迫られている課題は日本と全く同じだと思います。
 急速に進む経済、文化のグローバル化の流れの中で、私たちが訪問したどの市町村もその地域固有の歴史、文化、産業と資源を大切にして生き残りに必死に取り組んでいる姿が印象に残りました。私たちが住む町も取り組み次第で大きく変わることを実感し、わが一宮町が生き抜く道を町民とともに切り開いていきたいと思いました。

 

第50回記念全日本サーフイン選手権大会開催(8月25日)

 昨日太東海岸で全日本サーフイン選手権大会の開会式が行われ、会場地の首長として歓迎のご挨拶を述べてまいりました。

 全日本サーフイン選手権大会は、北海道から沖縄まで、全国70支部の予選会を勝ち抜いてきた選手のみが出場できる大会です。全国から1千名を超える選手が集まり、2015年度の日本チャンピオンを決定します。成績優秀者は、来年度の世界大会へ日本代表選手として参加派遣されるチャンスを得ることとなります。そして50周年のこの記念大会の成功がオリンピック正式種目の追い風になればと期待しています。

 台風の余波で強風の吹きつける中でしたが、全国から集まった選手の熱い意気込みで開会式は大変盛り上がりました。大会は今日から日曜日まで太東海岸と釣ヶ崎海岸で開催されます。普段なかなか見ることができないレベルの高い熱戦を皆様もぜひご覧ください。