地曳網漁【一宮町指定無形民俗文化財】

地曳網漁(じびきあみりょう)

平成24年(2012)3月30日指定

一宮町一宮 地曳網保存会

 

 

  地曳網漁とは、陸上を拠点として、沖合から網を引き寄せて魚を獲る漁法で、陸で待機している人が陸に向かって引き網を引きながら魚群を網に追い込み、引き寄せて魚を獲るものです。漁場は岩のない平坦な水域に限られ、地曳網漁に適した環境である九十九里沿岸などでは、江戸時代から盛んにおこなわれてきましたが、現在では衰退してきています。

 九十九里浜の地曳網漁は戦国時代の弘治年間(1555~58)に現在の白子町南白亀に漂着した関西の漁師・西宮久助によって伝えられたと言われ、イワシ漁場の開発に伴って盛んにおこなわれるようになりました。

 一宮町では江戸時代から昭和20年代まで、地域の主要産業として生活を支えてきましたが、戦中から戦後にかけて、とりわけ昭和30年代後半から昭和50年代にかけて衰退していきました。その後、地曳網保存会が昭和57年(1982)に作られ、伝統的な漁法を受け継ぎながら、6月から9月にかけて定期的に、観光を兼ねながら活動をしています。

 なお、一宮町で行われる地曳網漁は専業ではなく、農家の手が空いている時に漁を手伝う兼業が多いことが、地域的特徴として挙げられています。

                         更新:2019年9月