平成24年10月
10月31日 町長
塩屋岬と避難訓練
10月18日、一宮町議会の行政視察に同行し、東日本大震災の大津波で壊滅的な被害を受けた福島県いわき市の薄磯地区を視察しました。
この集落で唯一奇跡的に被害をまぬがれた土産物店のご主人にお話を伺いました。
この地区は美空ひばりのヒット曲「みだれ髪」の舞台となった塩屋岬の灯台がよく見える海岸の集落ですが、266世帯761人の集落で113人の方が亡くなり、9人が現在なお行方不明となっております。
「過去に津波が来たという記録もないし、遠浅の海岸なので、この辺りには大津波は来ないと私も思っていたし、みんなも思っていた。一応避難は、したけれど、今思えば切迫感がなかった。こんなに大きな被害が出て、反省している。この体験を一人でも多くの人に伝えたい。」
ご主人は、私たちに3.11当日、自分が撮影した写真を使って津波の恐ろしさを語ってくれました。写真はどれも津波の傷跡が残る生々しいもので、言葉が出ませんでした。
ご主人のお話で次の2つの言葉が耳に残りました。
「防災無線は、大切な命綱。指示には従い、速やかに避難する。」この地域では、長い間災害がなく、音がうるさいということで防災無線のスピーカーの向きを集落の方向から海の方向に変えていたため、避難の呼びかけがよく聞こえなかったといわれています。
「安全宣言が出る前は絶対に家に帰らない。」第一波の津波襲来後、もう安全だろうということで自宅に様子を見に帰った人は全員亡くなっています。津波は、第1波が最大とは限りません。一宮町でも最大の津波は、第3波でした。
地震や津波といった自然災害の発生を防ぐことはできませんが、被害を少なくする減災は、可能です。
11月18日(日)には、全町を対象とした津波避難訓練が行われます。
訓練の目的は、避難経路と避難に要する所要時間、避難場所を確認することです。昨年は平日でしたが、今年は家族そろって避難できるように日曜日に実施することにしました。
この訓練には役場の全職員が参加します。自分の持ち場と役割をよく理解し、てきぱきとした行動で町民に安心してもらえるようにお願いいたします。